演習(ラ米社会研究)１

概要

21世紀のラテンアメリカ社会では,ネオリベラル開発政策や市場主義のグローバリゼーションが様々な社会的排除を生んだが,COVID-19危機により,これらの構造的問題はさらに顕在化した。本ゼミでは,国家の開発政策や社会政策から取り残されてきた辺境地域や,終焉地域に住む人々・コミュニティに注目し,彼らの生存戦略やオルタナティブな経済活動が,どのように形成されてきたかを,地域の営みと歴史から,当該国のオフィシャルヒストリーを見直すことで,ローカルな活動からラテンアメリカの歴史を再考する。本演習は学部カリキュラム・ポリシーの５に相当する。 履修者には原則として春学期と秋学期の連続した履修を求める。本演習には,①ラテンアメリカ社会における,ある特定の問題関心があり,それを地域研究として研究する動機付けが明確であること,②春秋両学期を通じて当該問題について実証研究の方法を学び,論文を執筆する意欲があること,③一定の課題文献の輪読などゼミの運営に協力的であること,の３つを履修条件とする。履修を希望するものは,4月11日(月)までに,①について簡単なレポート(A4横書きで2枚)をMoodle(幡谷の本演習名のコースに提出枠がある)上に提出すること。このレポーと提出を履修要件とする。なお,「ラ米現代史概論」を履修済みであるか,今年度これを並行して履修することが望ましい。「ラ米政治社会特論B](秋学期)の履修も推奨する。

目標

今年度のテーマは「辺境」または「周辺」から社会を見直すことにある。ラテンアメリカ社会の特定の国またはその中の地域の政治社会問題に注目し,それがどのように歴史的に生まれてきたのか,背景について知識を深めるとともに,その問題が生まれた理由とそれを克服しようとする取り組みを分析する。特に中央(権力が集中する組織や都市)からは様々な意味で離れており,政府から見捨てられているようなコミュニティや地域で起こっている現象について事実を確認すると同時に,文献やデータの裏付けによる分析を行う。当該地域の歴史を遡り,その過程でどのように今日の社会問題が生じてきたかを理解する。日本の事例との比較を扱ってもよい。参加者は,地域研究の事例研究としての分析と考察方法を学び,春秋を通じて１年間で研究論文を作成することをめざす。

授業外の学習

登録者の個別の報告の際には,報告する立場でも,また聞く側に立つ場合でも,積極的に当該テーマに取り組み,事前に文献資料などを通して知識を深め,授業時のディスカッションに積極的に参加する準備が求められる。報告者は,必要に応じて事前に担当教員に相談しつつ,より建設的な報告ができるように入念な準備が求められる。参考資料は都度Moodleなどにアップする。 受講生は,必ず授業掲示板と幡谷のMoodle内の本ゼミのコースに入り,毎回情報を確認すること。初回ミニレポートもMoodle上に提出すること。 参加者の関心によって春学期または秋学期にゼミ合宿実施を検討する。

所要時間: 190分以上