西史特講B

外国語学部

FHS65205

コース情報

担当教員: 内村 俊太

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

60%

レポート

40%

詳細情報

概要

イスパニア語文学で最も有名な作品の一つである『ドン・キホーテ』(前編1605年,後編1615年)は,さまざまな解釈が可能な豊かな文学作品です。しかし同時に,17世紀初頭のスペインを舞台にし,ドン・キホーテが行く先々でトラブルを起こし続け,多くの登場人物が長々と身の上話をくりかえすこの小説は,スペイン近世史研究からみても,興味深いエピソードの宝庫です。 この授業では,『ドン・キホーテ』のさまざまなエピソードを取り上げながら,そこから読みとれる近世スペインの国家や社会のあり方を考えます。 アクティブ・ラーニングとして毎回の授業でリアクション・ペーパーの作成を行います。 学部カリキュラム・ポリシーの4に相当します。

目標

近世スペインに関する理解を深めつつ,歴史学以外の学問にも共通する,テクストを読むための学術的な方法論を習得することをめざします。

授業外の学習

予習(120分程度)としては,受講者は事前にMoodleに掲載する資料をプリントアウトし,エピソードの内容を把握しておくこと。また,それまでの授業で解説された事項との関連性について,各自で考察しておくことが望ましい。復習(70分程度)としては,その回の授業での解説内容を再確認したうえで,授業中に紹介する参考文献などを参照し,スペイン史・ヨーロッパ史に関する理解と関連づけて,知識・理解の定着を進めることが望まれる。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション 作者セルバンテスと小説『ドン・キホーテ』
  2. 近世スペインの国家と社会
  3. ドン・キホーテの夢と狂気 勝手に冒険を始める主人公
  4. サンチョ・パンサの打算 カスティーリャ的身分制社会
  5. サンチョ・パンサが治める村 近世領主制のケーススタディ
  6. 「捕虜の男」の身の上話 地中海を行き来する人々
  7. 『ドン・キホーテ』は誰が書いたのか? セルバンテスのフィクション戦略
  8. リコーテはなぜアウクスブルクに行ったのか? 「共存」を清算するスペイン近世国家
  9. カタルーニャの義賊たち 多言語社会に入り込んだドン・キホーテ
  10. 良いカスティーリャ語と悪いカスティーリャ語 同一言語話者における序列形成
  11. 番外編:アントニオ・デ・ネブリーハ『カスティーリャ語文法』
  12. 『ドン・キホーテ』を読んできた『ドン・キホーテ』の登場人物たち 近世のエリート文化と民衆文化
  13. 聖人にすがって生きる人々 複数形のカトリック信仰のあり方
  14. 近世から近代へ 「時代が変わる」とは?

教科書

なし(資料はMoodleをつうじて配布します)

    参考書

    • 『ドン・キホーテ』(全6篇)

      著者: セルバンテス作(牛島信明訳)

      出版社: 岩波文庫,2001年

    • 『スペインの歴史を知るための50章』

      著者: 立石博高・内村俊太編

      出版社: 明石書店,2016年

    • 『図説スペインの歴史』

      著者: 立石博高・黒田祐我

      出版社: 河出書房新社,2022年

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