フランス近現代史研究
外国語学部
FFS66000
コース情報
担当教員: 高橋 暁生
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 月4
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
レポート
その他
教員による講義を中心に,学生によるプレゼンやディスカッションを適宜挟みながら授業を構成する。またリアクションペーパーは毎回の出席確認であると同時に,翌週の授業でフィードバックし,これ自体もディスカッションのベースとすることがある。なおリアクションペーパーには「課題リアペ」も複数回含まれ,様々な史資料の分析がその主な内容となる。 以上を踏まえ,期末のレポートが成績評価の多くを占める。
詳細情報
概要
フランスと言えば,芸術や美食,ファッションと結びつけられて語られるとともに,しばしば「フランス革命」を念頭に,「自由」や「平等」といった普遍的な価値とともに連想されることも多いし,フランス自身も「人権の祖国」を自認している。18世紀末に「人間と市民の権利の宣言」を生み出した革命を経験したフランスはしかし,とりわけ19世紀の後半以降,まさにその革命理念の実現を志向する共和国の建設に取り組むと同時に,海外における植民地獲得競争で中心的な存在であり続け,征服した各地域では様々な形態での人権の抑圧が確認できる。この「矛盾」はなぜ起きるのか。この疑問を出発点に,コロニアリズムとは何か,またナショナリズムとは何かといった普遍的であると同時に,実のところきわめて現代的な問題を,フランスの植民地史を素材として考えていきたい。 その延長線上に,現代の日本とコロニアリズム,ナショナリズムの関係も考察の対象としたい。 授業後は特定課題や自由課題に関するリアクションペーパーを提出してもらい,その内容を次週の授業の中で紹介し,さらなる考察,議論を喚起する方法をとっている。講義内容だけでなく,このプロセスからも多くを学び取ってほしい。 なお,世界史や日本史を勉強していた人はもちろん,これまで歴史に苦手意識を持っていたような人,ほとんど歴史の素養がない人も受講を歓迎する。そういった学生にもわかりやすい授業を心がけたい。
目標
・ナショナリズムとコロニアリズムの関わりについて理解する ・フランスの近現代史を参照しつつ,現代日本について考える視点を獲得する ・〈宗主国性〉と〈植民地性〉の関係性を理解し,そこから差別の構造について考える視点を獲得する
授業外の学習
授業外学習時間の構成はおよそ以下の通りとなる。 ○ほぼすべての授業で課す史資料の解析と小レポート:60分 ○ドキュメンタリの視聴とその小レポート:100分 ○毎回のリアクションペーパーの作成:30分
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション:講義の目的,進め方,成績評価の仕方などについて説明する ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる
- 資料分析とディスカッション
- ドキュメンタリ分析:フランスの移民問題に関するプレゼンとディスカッション
- フランスの「移民」問題とは何か①
- フランスの「移民」問題とは何か②
- フランス植民地帝国の近世史
- 世紀,20世紀の植民地拡大とフランス植民地主義の特質
- 近代フランスにおける人種主義①:「科学」とレイシズム
- 近代フランスにおける人種主義②:帝国の可視化と人種イメージの拡大
- 補遺:近代日本の人種主義
- 植民地支配の実際①:アルジェリア支配の132年
- 植民地支配の実際②:マルティニークと国内植民地主義
- 集合記憶と植民地主義:歴史教科書の中の「植民地」
- 総括:植民地主義とは何か
教科書
本講義に関わる重要な文献資料は,講義の中で適宜紹介していく。
参考書
書籍情報はありません。