国際経営論Ⅱ
経済学部 - 経営学科
EMG50510
コース情報
担当教員: 柳田 志学
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 木4
形式: オンデマンド授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
レポート
その他
①オンデマンド授業のため,対面による試験等はありません。毎回の課題提出が重要な評価基準となります。なお,対面による定期試験は実施せず,期末レポートを課します。 ②担当教員は2018年度より本科目を担当していますが,今年度はオンデマンド形式のため,皆さんと直接お会いする機会はほぼありません。しかし過去に実施した対面の授業では,様々な才能に満ち溢れた受講生の方々と出会ってきました。その中には不思議なことに類まれなる才能を周囲に隠し(才能に気づかずコンプレックスを抱いていたり),自分の生き方に自信が持てない方も多くいました。ここで改めて自覚していただきたいのは,皆さんが所属する上智大学とは世界に誇るべき国際的な大学であり,入りたくても入れない「憧れ」の大学だということです。また,卒業した先輩たちが長い年月をかけて信頼を得た大学であり,皆さんの日々の行動は日本のみならず世界中の人々から羨望の眼差しで見られています。そのことに自信と誇りを持ち,上智大学の建学理念である「隣人性(他者のために,他者とともに)」と「国際性」を忘れることなく,授業を受講されることを強く期待します。
詳細情報
概要
これをご覧の皆さんの多くは海外に行かれた経験があると思いますが,海外の街中を歩いていると,驚くほど日本の製品やサービスが浸透しており,時には「こんなところにも日本企業が進出しているのか」と感じる経験があったと思います。そこで皆さんに考えていただきたいのですが,それらの製品・サービスがどのようなプロセスで現地の市場へと浸透し,なぜ日本企業がそこに進出したのか,という背景について「理論的」に答えることはできるでしょうか。 国際経営(国際ビジネス)とは,けっして大企業や先進国のみを対象としたものではありません。時には現地を訪問して,各国のダイナミズムを肌で感じることも重要です。担当教員は東南アジアを対象とした国際ビジネスを専門としていますが,2024年2月から3月にかけて現地の最新動向を把握するため東南アジアを飛び回っています。そしてこのシラバスはインドネシアのバリ島にあるコメダ珈琲の店内で執筆しています。日本でお馴染みのコメダ珈琲は,じつは上海や台湾に進出するグローバル企業だということはあまり知られていませんが,なぜインドネシアのバリ島に進出したのでしょうか(続きは授業内でご紹介します)。同国は世界第4位の人口で若年層が多く,丸亀製麺,ローソン,SEIBU(そごう・西武)など様々な企業が勝機を探りながら進出を模索していますが,その一方で現地のビジネスに適応できず,撤退を余儀なくされた企業もあります。このように東南アジア諸国におけるビジネスは一筋縄ではいかないのが現状ですが,泥臭いビジネスの現場で解決策を導くためには,やはり理論的な考察・分析をしなければ周囲を説得できません。ときには経営学のみならず,歴史・経済・文化・法制度・知識(暗黙知)・国家(政府との関係)・社会学(ネットワーク理論)といった学際的な領域まで踏み込む必要性が生じてきます。 本講義では,これらの現状を踏まえてグローバル企業(多国籍企業)が国際事業展開をはかる際に生じる様々な課題について理論的に考察します。また,主に新興国(東南アジア)市場における国際ビジネスの最新動向を踏まえて包括的に理解することを目的とします。 なお,本講義は国際経営論Ⅰの履修を必須としませんが,「国際経営論Ⅱ」という性質上,最新の学説や幅広い理論を取り扱うことがあります。すなわち,ある程度の知識があることを前提として講義をすすめる(高い水準の内容も含まれる)ことをご留意ください。ただし毎年この科目は受講生の中に1年生ないし国際経営論Ⅰを未受講の方が一定数います。また,国際経営論Ⅰを履修済でも「内容を忘れてしまった(完全に理解していない)」という受講生も多かったように感じています。これらの現状を踏まえ,今年度も理解度を確認するため,毎回の講義時に課題(リアクション・ペーパー)へと取り組んでもらいます。さらに次回の講義では,課題内容をフィードバックするとともに,必要に応じて補足事項を解説するなど,インタラクティブな授業を実施します(必要に応じて講義の順番や内容を柔軟に変更します)。
目標
① 自分が関心のある企業がどのようなプロセスを経て海外へと進出するのかについて,自ら考えること。 ② 新聞,雑誌(週刊東洋経済,日経ビジネスなど),各種資料から,国際ビジネスの最新動向を的確に読み取る力を身につけること。 ③ 講義で学んだ国際ビジネスに関する理論を用いて,他の科目へと活かすこと。
授業外の学習
講義の中では,国際経営に関連する新聞記事,書籍,雑誌,統計データなどを数多く紹介します。毎回の講義前までに関連するトピックについて調べておき,講義へと臨むようにしてください。また,授業後は大学の図書館(学外電子ジャーナル)などで情報収集をするとともに「自分だったらどうするか」と考えてみる習慣を心がけてください。
所要時間: オンデマンド形式のため,視聴時間と課題作成の時間が(授業1回あたり190分以上)かかります。
スケジュール
- イントロダクション:国際ビジネスとグローバリゼーション
- 多国籍企業と国際ビジネスの歴史①
- 多国籍企業と国際ビジネスの歴史②
- グローバル競争戦略
- イノベーション
- 国際ビジネスとナレッジマネジメント
- 国の競争優位と産業クラスター
- 国際生産システム
- サービスの国際化
- メディカルツーリズムと医療の国際化
- ラグジュアリーブランドの国際事業展開
- 新興国市場における国際ビジネス
- 国際ビジネスの新潮流
- 講義のまとめ
教科書
受講人数,受講生の理解度によって毎回の講義スライドを修正するため,テキストは用いません。
参考書
『理論とケースで学ぶ国際ビジネス 第4版』
著者: 江夏 健一,桑名 義晴編
出版社: 同文舘出版・2018年
『国際ビジネス理論 (シリーズ 国際ビジネス2)』
著者: 江夏健一,長谷川礼,長谷川信次編
出版社: 中央経済社・2008年
『ケースに学ぶ国際経営』
著者: 吉原英樹,白木三秀, 新宅純二郎,浅川和宏編
出版社: 有斐閣・2013年