金融制度と金融政策
経済学部 - 経済学科
EEC63100
コース情報
担当教員: 左三川 郁子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
15%
授業参加
30%
定期試験
定期試験期間中
40%
小テスト等
15%
詳細情報
概要
「金融」とは,お金の流れをスムースにするための「制度」である.本講義では,わが国で金融市場の自由化とグローバル化が進展した1990年代以降に焦点を当て,金融取引や金融市場,金融機関などさまざまな側面から金融制度の変遷をとらえる。また,90年代末以降,日本銀行が実施してきた「非伝統的金融政策」を扱い,各種政策が導入された背景や政策の効果と副作用,今後起こり得る問題について考える.
目標
金融の理論と政策のほか,金融ビジネスの世界で観察されるさまざまな事象についての理解を深める.
授業外の学習
毎日,金融に関する新聞記事や雑誌記事をじっくり読む習慣を身に付け,半年から1年以内に金融市場や経済の動向がどのように変わりそうかを自分の頭で考えてみること.
所要時間: 190分
スケジュール
- 金融取引・金融市場・金融機関 通貨,決済,直接金融と間接金融,公的金融と政府系金融機関
- 資金循環統計と貯蓄投資バランス論 フローとストック,企業部門の貯蓄超過,家計の金融資産残高,貯蓄から投資へ
- 金融仲介機能と銀行 金利とは,単利と複利,固定金利と変動金利,預貸利ざや,金利規制と金融自由化,1990年代の不良債権問題と金融不安
- 金融市場(1)外国為替市場 国際通貨制度(ブレトンウッズ,ニクソン・ショック,キングストン合意,プラザ合意),購買力平価,実質レートと実効レート,現物市場と先物市場,為替介入
- 金融市場(2)株式市場 発行市場と流通市場,資本コスト,配当割引モデル,株式収益率の指標,東証ガバナンス改革
- 金融市場(3)短期金融市場と債券市場 インターバンク市場とオープン市場,債券の利回りと価格,金利の期間構造,ポートフォリオ理論,デリバティブ市場
- インフレーションとデフレーション 消費者物価,インフレ・ターゲティング,名目金利と実質金利,自然利子率,GDPギャップ,中央銀行の独立性,資産価格バブル
- 中央銀行と金融政策 中央銀行の役割,伝統的な金融政策,金融緩和と金融引き締め,主要国の中央銀行(FRB,ECB,BOE),テイラー・ルール
- 非伝統的金融政策(1)ゼロ金利政策と量的緩和政策 ゼロ金利制約,フォワード・ガイダンス,中央銀行のバランスシート政策,準備預金制度と超過準備,マネタリーベースとマネーストック,リスク性資産の買い入れ
- 非伝統的金融政策(2)マイナス金利政策とイールドカーブ・コントロール 金利と量の関係,当座預金の階層構造,米豪のイールドカーブ・コントロール政策,指し値オペ,国債補完供給(SLF)
- 非伝統的金融政策(3)出口 主要中央銀行の出口政策,中央銀行の収益構造と債務超過,財政コスト,補完当座預金制度と補完貸付制度,金利上昇と銀行の金利リスク量(IRRBB)
- 金融規制と金融危機,金融リスク バーゼル(BIS)規制,金融危機,デジタル取り付け,中央銀行の最後の貸し手機能(LLR)と流動性供給
- プルーデンス政策 金融機関のモニタリング,預金保険制度とペイオフ,資本注入,地銀再編
- 人口減少とデジタル化の下での金融 金融機関の店舗戦略,現金需要,暗号通貨,中央銀行デジタル通貨(CBDC)
教科書
レジュメを配布する.
変わる時代の金融論(有斐閣ストゥディア)
著者: 前田 真一郎, 西尾 圭一郎,高山 晃郎ほか
出版社: 有斐閣(2023年)
金融政策(第2版) 【ベーシック+】
著者: 小林 照義
出版社: 中央経済社; 第2版(2020年)
なるほどファイナンス(有斐閣ストゥディア)
著者: 岩壷 健太郎
出版社: 有斐閣(2023年)
参考書
金融論 市場と経済政策の有効性【新版】
著者: 福田 慎一
出版社: 有斐閣(2020年)
入門テキスト 金融の基礎【第2版】
著者: 藤木 裕
出版社: 東洋経済新報社(2022年)
金融政策:理論と実践
著者: 白塚 重典
出版社: 慶應義塾大学出版会(2023年)