ALS(アクティブ・ラーニング・セミナー)

経済学部 - 経済学科

EEC62702

コース情報

担当教員: 長江亮

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 水4

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修: 可

評価方法

出席状況

10%

授業参加

10%

レポート

30%

その他

報告・討論の内容や方法,プレゼンテーションの質・努力水準を評価します。

50%

詳細情報

概要

本演習では,現実の社会問題を経済学的観点から研究した平易な英語の論文を読みます。授業では,一つのトピックについて,前もって報告者(グループ)と討論者(グループ)を決め,1回に一つの論文の内容を報告・討論し,最後に取り上げた論文について,参加者全体でディスカッションする形態をとります。報告者は論文内で引用されている高度な論文などを読む必要はありませんが,背景や問題の捉え方,どのような分析がなされているかについては書いてある内容を調査し,把握することが必要になります。この演習では履修者が経済用語に慣れ,内容を理解し,取り上げたトピックについて討論ができるようになることを目指します。(各回に掲載されている論⽂は,あくまでも候補なので履修⽣の希望によって順序・内容は変わる可能性があります。)

目標

この演習では,「現実の社会問題に対して,経済学者がどのように問題を分析しているのか」といった例に触れることを通して,経済学的なものの見方を学び,諸問題の本質を考えます。これにより,第一に,どのような問題を考察するべきかを識別する能力を養うこと,第二にどのように問題をとらえるべきか考える力を身に着けること,第三に問題解決に向けて,自発的に討論ができるようになることを目指します。この演習で身に着けられる能力は,一つ目に,身近な社会問題の本質を考察できる能力です。二つ目に,プレゼンテーションスキル及びディスカッションスキルです。三つ目に,経済分析,特にデータを使った実証分析の基礎的な素養です。

授業外の学習

各論文について,報告者(グループ)と討論者(グループ)を決め,各グループにつき1本の論文を担当してもらいます。報告者(グループ)には報告用の資料を作成してもらいます。また,討論者(グループ)は討論用の資料を作成してもらいます。討論者(グループ),報告者(グループ)以外の履修者は,報告される論文にざっと目を通してくることが事前学習の内容です。この学習には,担当となるか否かで異なりますが,各回平均すると100分程度かかると考えてください。この演習の最後には,演習全体で興味を持ったテーマに関するレポートを課します。この時に,報告された(もしくは自分でした)論文に対する理解と,そこで行われた質疑応答・討論を踏まえて自分で論題を立てて論じてもらいます。このプロセスで必要とされる学習が事後学習になります。事後学習に関しては,各回平均的に100分程度の時間を必要とします。以上の点を含む授業の進め方に関しては,授業開始時に詳しく解説し,第２回目に,担当教員が資料作成法の解説及びデモンストレーションを行います。

所要時間: 200分

スケジュール

オリエンテーション・講義内容の解説
グループ(担当)決め,以下の論文を使用して教員による報告・討論のデモンストレーションを行う。論文:Oster, Emily. 2004. "Witchcraft, Weather and Economic Growth in Renaissance Europe ." Journal of Economic Perspectives, 18 (1): 215-228.
Hakes, Jahn, K., and Raymond D. Sauer. 2006. "An Economic Evaluation of the Moneyball Hypothesis." Journal of Economic Perspectives, 20 (3): 173-186.の報告と討論,全体での議論
Guryan, Jonathan, Erik Hurst, and Melissa Kearney. 2008. "Parental Education and Parental Time with Children." Journal of Economic Perspectives, 22 (3): 23-46.の報告と討論,全体での議論
Woessmann, Ludger. 2016. "The Importance of School Systems: Evidence from International Differences in Student Achievement." Journal of Economic Perspectives, 30 (3): 3-32. の報告と討論,全体での議論
Aker, Jenny C., and Isaac M. Mbiti. 2010. "Mobile Phones and Economic Development in Africa." Journal of Economic Perspectives, 24 (3): 207-32.の報告と討論,全体での議論
Autor, David H. 2015. "Why Are There Still So Many Jobs? The History and Future of Workplace Automation." Journal of Economic Perspectives, 29 (3): 3-30. の報告と討論,全体での議論
Barrero, José María, Nicholas Bloom, and Steven J. Davis. 2023. "The Evolution of Work from Home." Journal of Economic Perspectives, 37 (4): 23-50. の報告と討論,全体での議論
Sloane, Carolyn M., Erik G. Hurst, and Dan A. Black. 2021. "College Majors, Occupations, and the Gender Wage Gap." Journal of Economic Perspectives, 35 (4): 223-48.の報告と討論,全体での議論
Cascio, Elizabeth U., and Na'ama Shenhav. 2020. "A Century of the American Woman Voter: Sex Gaps in Political Participation, Preferences, and Partisanship since Women's Enfranchisement." Journal of Economic Perspectives, 34 (2): 24-48. の報告と討論,全体での議論
Chyn, Eric, and Lawrence F. Katz. 2021. "Neighborhoods Matter: Assessing the Evidence for Place Effects." Journal of Economic Perspectives, 35 (4): 197-222.の報告と討論,全体での議論
Fryer, Roland, G Jr. 2007. "Guess Who's Been Coming to Dinner? Trends in Interracial Marriage over the 20th Century." Journal of Economic Perspectives, 21 (2): 71-90. の報告と討論,全体での議論
Deaton, Angus. 2008. "Income, Health, and Well-Being around the World: Evidence from the Gallup World Poll." Journal of Economic Perspectives, 22 (2): 53-72.の報告と討論,全体での議論
Bailey, Michael, Rachel Cao, Theresa Kuchler, Johannes Stroebel, and Arlene Wong. 2018. "Social Connectedness: Measurement, Determinants, and Effects." Journal of Economic Perspectives, 32 (3): 259-80. の報告と討論,全体での議論

教科書

本講義で使用する資料は経済学の論文です。使用予定の論文掲載雑誌のHPを挙げておきます。講義概要と到達目標の記述内容の妥当性が理解できますので,雑誌の目的の部分を確認しておいてください。 https://www.aeaweb.org/journals/jep/about-jep

参考書

取り上げる論文は実証分析を行ったものが多いので,参考書として,実証分析の入門書をあげておきます。

Introductory Econometrics: A Modern Approach 7e

著者: J.M. Wooldridge

出版社: South-Western Pub; 7th edition・2019