演習3
経済学部 - 経済学科
EEC57023
コース情報
担当教員: 出島 敬久
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水4, 水5
形式: 対面授業
レベル: 400
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
出席状況
授業参加
レポート
その他
学期末までに,各受講者の研究に関するレポートとその口頭報告を求めている。また,その中間報告が,受講者と相談の上,求められることがある。それら口頭発表に対する有益なコメントも,評価の対象となる。
詳細情報
概要
日本の合計特殊出生率は再び低下傾向にあり,この先,人口減少が続くことが予測されている。2040年頃には労働力人口が年率約1%で減り続ける社会が到来し,経済成長率は年率1%程度下押しされ,マイナス成長が持続することになる。日本経済が他の先進国と比べて低成長であり,実質賃金も伸び悩む本質的な要因は,この少子高齢化と人口減少にある。 その影響を緩和するためには,人口減少下でも働く人を増やしつつ(就業率の向上),子どもの数も増やす(出生率の向上)という,両立困難な課題に取り組む必要がある。本演習ではその克服方法について考える。 当然ながら,第一には,子育てなど家事と無理なく両立できる働き方改革(ワークライフバランスの改善)と,各種の子育て支援政策が考えられる。 さらに,第二には,少子化を助長している東京一極集中の緩和も,検討が求められる。東京の合計特殊出生率は長らく全国最低で,平均初婚年齢や未婚率も全国で最高である。つまり,東京は地方に比べて,結婚しにくい,子育てしにくい環境といえる。 それにもかかわらず,東京への人口流入が今も続いているのは,地方よりも東京の賃金が相当に高く,また多様な雇用が存在するからであり,それは地方で成長する産業が乏しくなった結果でもある。そうした構造は少子化と人口減少を加速しているから,改善が必要といえる。衰退傾向にある地方経済の課題についても,観光を含め,比較優位のある産業を再構築する可能性などを検討する。 春学期は,基礎的なデータと分析手法を教員が概説した後,各学生やグループでの研究計画の立案と中間報告,それに関するゼミ生相互の議論にあてる。
目標
・日本経済のデータについて,様々な記事や論文の引用にとどまらず,直接調べる方法がわかること ・収集したデータに対して,基本的なモデルを推定・検定できること
授業外の学習
・教科書で取り扱う箇所を前もって読み,疑問点を把握しておくこと ・演習で新しく学んだ箇所が,自力で理解可能で,計算可能か確認すること
所要時間: 190分
スケジュール
- 演習の手法の説明と今後の計画
- 経済データの検索・収集方法1:家計と企業に関する政府統計
- 経済データの検索・収集方法2:2次統計としての国民経済計算
- 経済データの検索・収集方法3:企業の財務諸表の利用
- 経済データの検索・収集方法4:株価などマーケットデータの利用
- 計量経済理論の基礎:データの特性を指標化する平均・分散
- 計量経済理論の応用1:2変数の関係を把握する相関係数
- 計量経済理論の応用2:1次式のあてはめとしての回帰分析と最小2乗法
- 計量経済理論の応用3:質的な変数・ダミー変数の導入と解釈
- 日本経済の現状:人口減少と経済成長の鈍化
- 日本経済の現状:少子高齢化と労働生産性の低迷
- 日本経済の現状:実質賃金の低迷と消費の伸び悩み
- 日本経済の現状:東京一極集中と地方の衰退
- 総合討論と各自の課題:今学期のゼミに関する総括と各自の課題
教科書
研究課題に応じて適宜指定して利用したい。
参考書
日本経済のとくに地域経済に関するデータの分析手法として,広く参考にできるものの一部を挙げる。もちろん,研究テーマに応じて,これ以外に多数の文献を参照することが必要となる。
実証分析のための計量経済学
著者: 山本勲
出版社: 中央経済社,2015
経済効果入門ー地域活性化・企画立案・政策評価のツール
著者: 小長谷一之・前川知史
出版社: 日本評論社,2014
RESASの教科書 リーサス・ガイドブックーあの街はなぜ賑わうのか? データが地方創生を加速する
著者: 日経ビッグデータ(編)
出版社: 日経BP社,2016