演習2
経済学部 - 経済学科
EEC57022
コース情報
担当教員: 出島 敬久
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水4, 水5
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
出席状況
授業参加
レポート
その他
学期末までに,各受講者の研究に関するレポートとその口頭報告を求めている。また,その中間報告が,受講者と相談の上,求められることがある。それら口頭発表に対する有益なコメントも,評価の対象となる。
詳細情報
概要
日本の合計特殊出生率は再び低下傾向にあり,この先,人口減少が続くことが予測されている。2040年頃には労働力人口が年率約1%で減り続ける社会が到来し,経済成長率は年率1%程度下押しされ,マイナス成長が持続することになる。日本経済が他の先進国と比べて低成長であり,実質賃金も伸び悩む本質的な要因は,この少子高齢化と人口減少にある。 その影響を緩和するためには,人口減少下でも働く人を増やしつつ(就業率の向上),子どもの数も増やす(出生率の向上)という,両立困難な課題に取り組む必要がある。本演習ではその克服方法について考える。 当然ながら,第一には,子育てなど家事と無理なく両立できる働き方改革(ワークライフバランスの改善)と,各種の子育て支援政策が考えられる。 さらに,第二には,少子化を助長している東京一極集中の緩和も,検討が求められる。東京の合計特殊出生率は長らく全国最低で,平均初婚年齢や未婚率も全国で最高である。つまり,東京は地方に比べて,結婚しにくい,子育てしにくい環境といえる。 それにもかかわらず,東京への人口流入が今も続いているのは,地方よりも東京の賃金が相当に高く,また多様な雇用が存在するからであり,それは地方で成長する産業が乏しくなった結果でもある。そうした構造は少子化と人口減少を加速しているから,改善が必要といえる。衰退傾向にある地方経済の課題についても,観光を含め,比較優位のある産業を再構築する可能性などを検討する。 秋学期は,おもに分析手法を教員が概説する機会を設けるほか,各学生やグループでの研究の中間報告,それに関するゼミ生相互の議論にあてる。学期末には最終報告を求める。
目標
・日本経済や地域経済に関する実証研究のうち比較的簡単な手法の論文について,モデルや推定結果について理解できること ・そうした先行研究に対して,より最近のデータで,新たな分析や検証ができること ・以上を通じて,日本の現在の政策課題について,問題解決のための有効な提案ができること
授業外の学習
・各自が取り組むテーマに適した研究書のうち,取り扱う箇所を前もって読み,疑問点を把握しておくこと ・演習で新しく学んだ箇所や拡張の余地を議論した部分が,自力で理解可能で,研究可能か確認すること
所要時間: 190分
スケジュール
- 「地域経済」や「働き方改革」などに関する研究課題の再検討
- 先行研究の概観と議論
- 既存のデータベースの所在の確認と検討
- データ分析1:基本的な記述統計(平均・標準偏差・分布の特性など)
- データ分析2:基本的なグラフ(ヒストグラム・散布図)
- データ分析3:個人属性(所得など)との関係のクロス表分析
- データ分析4:個人属性(所得など)との関係の統計分析(相関係数)
- 散布図や相関係数までを用いた中間報告と議論
- データ分析5:複数の要因があるときの要因分析(重回帰分析など)
- データ分析6:推定されたモデルの評価と他のモデルとの比較など
- データ分析7:検証すべき作業仮説の整理と仮説検定
- データ分析8:モデルを用いた予測
- 既存の政策・戦略の評価と新たな政策・戦略の提言
- 最終報告と議論
教科書
各自の研究テーマについて,個別の参考文献やデータの分析が必要になる。
参考書
各自異なるテーマについて,分析を進めることになるが,データの取り扱いや分析手法に関して,共通した参考書として,以下を挙げておく。
実証分析のための計量経済学
著者: 山本勲
出版社: 中央経済社,2015
経済効果入門 ー地域活性化・企画立案・政策評価のツール
著者: 小長谷一之・前川知史
出版社: 日本評論社,2014
RESASの教科書 リーサス・ガイドブック: あの街はなぜ賑わうのか? データが地方創生を加速する
著者: 日経ビッグデータ(編)
出版社: 日経BP社,2016