哲学特殊研究・近代IV

博士後期課程文学研究科 - 哲学専攻

DPPH3234

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 木3

形式: 対面授業

レベル: 800

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

20%

レポート

60%

その他

毎回,当該のテキスト範囲を担当するレポーター(ReferentInen)と共に,前回のディスカッションを通じての中心諸ポイントをまとめて次回のゼミナールの最初に提示する報告者(ProtokollantIn)を決める。各回のこれらの担当者はレジュメを用意して,教員に添付メールで送信する。 学期末レポートの提出について,詳しくは授業の中で説明します。

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詳細情報

概要

このゼミナールでは,通常は宗教哲学上の重要なテキストに取り組むことを主眼とするが,この秋学期には,西田幾多郎(1870 - 1945)の後期思索圏から『日本文化の問題』 (1940年)を主要テキストとして,西田の歴史哲学と精神文化論との密接な連関を開明してゆきたい。1938年(昭和13年)に京都帝国大学学生課主催で催された公開講座「月曜講義」第一講として三回にわたって(1929年以来は京大名誉教授となっていた)西田が行った内容を大幅に加筆・敷衍して,1940年3月に完成稿とし,岩名書店から出版(岩波新書 60)した「日本文化の問題」は ,旧全集には 第12巻に収められている。〈東洋と西洋に通底する最根柢から哲学する〉思索の可能性が日本文化から開かれ得ると究明する西田の立場は,第二次世界大戦の最中にありながら歴史的世界の創造的要素としての自己の在り処に目覚めを促すものである。付論として〈学問的方法〉と題する叙述を含む。加えて,1937年刊行の『続 思索と体験』の中の「歴史」と題する小論稿を検討し,後期西田哲学の展開の筋道にじっくりと取り組むことにする。 尚,西田幾多郎のテキストは,全集版からマスターコピーを準備して,哲学科研究棟の所定の戸棚に置くと共に,必要があれば Moodle上の本コース最初の欄掲示するので,このゼミナールに参加する各大学院生及び科目履修生は自分でそこからコピー 乃至 ダウンロードしてテキストを作成してほしい。

目標

・宗教的思惟の根本問題の考究へ向けての〈思惟の熟練〉を積むことが第一に要求さ れる。 ・授業時に呈示される諸参考文献の研究を通して,自らの哲学的発展に益するよう努 力する ことも大学院生らしい勉強態度として要求される。 ・ゼミナール参加者各自の専門とする研究領域との関連で,西田哲学と19世紀から 20世紀前半のヨーロッパの歴史哲学及び文化論の潮流から蒸留されてくる哲学的内 実をどのように省察することができ査定できるのかをレポートで呈示することが, 最終的な到 達目標となる。 ・授業でのディスカッション活性化の上で,毎回レポーター担当者とともに前回の議 論内容を短くまとめて呈示する報告者それぞれ1名を決めるようにする。

授業外の学習

ゼミナール参加者各自が毎回の授業 でのテキスト範囲を熟読し,内容を総括して自らの解釈を準備することが求められる。その上で,授業時に呈示される諸参考文献の研究を通して,自らの哲学的発展に益するよう努力することが大切であろう。

所要時間: 復習に80分程度,予習に110分程度を目安とする。内容は授業時にその都度指示する。

スケジュール

  1. 導入的講義 ― 後期西田の思索について/ 秋学期開始に当たっての授業の進行計画と学期末レポートについて / テキスト講読 (1) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収)277 - 284 頁)
  2. テキスト講読 (2) : 西田 幾多郎『日本文化の問題』( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収)284 - 293頁)
  3. テキスト講読 (3) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻所所収,294 - 304 頁)
  4. テキスト講読 (4) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収),304 - 311頁
  5. テキスト講読 (5) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻所収),311 - 319 頁
  6. テキスト講読 (6) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収),319 - 327 頁
  7. テキスト講読 (7) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻所収),327 - 338 頁
  8. テキスト講読 (8) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』 ( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収) ,338 - 348 頁
  9. テキスト講読 (9) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』( : 旧『西田幾多郎全集』第12巻所収),348 - 359 頁
  10. テキスト講読 (10) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』(: 旧『西田幾多郎全集』第12巻 所収)359 - 368 頁
  11. テキスト講読 (11) : 西田 幾多郎 『日本文化の問題』( : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻 所収),369 - 383 頁
  12. テキスト講読 (12) : 西田 幾多郎 『歴史』( : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻所収),31 - 38 頁
  13. テキスト講読 (13) : 西田 幾多郎 『歴史』( : 旧 『西田幾多郎全集』第12 巻所収),39- 50 頁
  14. テキスト講読 (14) : 西田 幾多郎 『歴史』( : 旧 『西田幾多郎全集』 第12巻所収), - 50 - 63頁 + 後期西田哲学 二次文献の研究について

教科書

西田の歴史哲学と密接な関係にある精神的文化論の理解ににとって極めて豊かな内容の哲学論稿であるが,場所的論理の熟成してゆく思索が展開される。

  • 『日本文化の問題』 (1940 年 : 旧 『西田幾多郎全集』第12巻,277 - 383 頁)附録「学問的方法」(同,385 - 394頁)

    著者: 西田 幾多郎

    出版社: 岩波書店 1948 年 初版 / 1988年 第四版

  • 「歴史」(旧 『西田幾多郎全集』第12巻に所収〈続 思索と体験〉三.,31 - 63頁)

    著者: 西田 幾多郎

    出版社: 岩波書店 1948年 初版 / 1988年4月 第四版

参考書

以下に例示する参考文献は,西田の 『日本文化の問題』 および歴史哲学を理解する上で参考となる二次文献である。

  • 「西田哲学と〈東洋的世界観の論理〉― 『日本文化の問題』再考 ―」(『西田哲学会 年報』第19号 所収,1 ~16頁)

    著者: 西平 直

    出版社: 西田哲学会事務局,令和 4 年8月

  • 『歴史と生命: 西田幾多郎の苦闘』

    著者: 鈴木 貞美

    出版社: 作品社,2020年3月

  • 『西田哲学と現代 ― 歴史・宗教・自然を読み解く 』(Minerva21世紀ライブラリー 68)

    著者: 小坂 国継

    出版社: ミネルヴァ書房,2001年12月

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