文化交渉学特殊研究IIIB

博士後期課程文学研究科 - 文化交渉学専攻

DHCU7060

コース情報

担当教員: 北條 勝貴

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金5

形式: 対面授業

レベル: 800

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

授業参加

20%

リアクションペーパー

20%

その他

各自の報告(出席は前提である。参加者には,授業計画に沿った課題で調査・発表を行ってもらう。レジュメの完成度,発表の仕方,質疑応答の内容などから総合的に評価する)

60%

詳細情報

概要

柳田國男の『遠野物語』は,1910(明治43)年,柳田が遠野の青年佐々木喜善から聞き取ってまとめた説話集であり,近代批判の書であり,日本民俗学の始まりを告げるエスノグラフィーでもある。収録されたナラティヴは,いずれも近世からの連続性,近代における断絶,三陸大津波直後の時代性を反映しつつ,ヒト・モノ・情報の結節点であった遠野へ流入した漢籍,北方地域の伝承形式との混淆によって生じていることが確認できる。 本授業では,『遠野物語』収録説話のなかから,山女・山男譚,オシラサマ譚,神隠し譚,座敷童譚,その他の怪異譚をピックアップし,志怪や伝奇,アイヌの伝承等との比較を通し,その背景にある文化交渉のダイナミズムについて考えてゆく。 具体的には,まずガイダンスのあと,2〜3回で『遠野物語』の概説および説話の読解法について説明,以降は受講者の関心に応じて担当の資料を割り当て,ゼミ形式で報告・意見交換してゆく。

目標

1)説話・伝承研究の初歩を体得する。 2)説話・伝承を用いて,それが語られた時代の社会の特徴,人びとの心性のありようを追究することができるようにする。 3)類似の形式の説話・伝承,その他の史資料を比較することで,グローバルな物語りの動きを推測できるようにする。

授業外の学習

1)自分に割り当てられた課題について調査し,レジュメにまとめ,適切に発表するための準備を行う。 2)予習(90分程度):次回報告のテーマ(他の受講生による報告分)について自分なりに調査し,疑問点を整理しておく。 3)復習(100分程度):他の受講者の報告,討論の成果を踏まえ,その際に疑問に思ったこと等について自分なりに調査し,リアクション・ペーパーにまとめて Moodle に提出する。

所要時間: 190分以上

スケジュール

  1. ガイダンス)文化交渉と民間伝承─蝦夷・漢籍・アイヌ─
  2. 講義1)『遠野物語』概論
  3. 講義2)説話の読み方
  4. 演習1)山女・山男譚を読むa
  5. 演習2)山女・山男譚を読むb
  6. 演習3)オシラサマ譚を読むa
  7. 演習4)オシラサマ譚を読むb
  8. 演習5)神隠し譚を読むa
  9. 演習6)神隠し譚を読むb
  10. 演習7)座敷童譚を読むa
  11. 演習8)座敷童譚を読むb
  12. 演習9)その他の怪異譚を読むa
  13. 演習10)その他の怪異譚を読むb
  14. まとめ

教科書

一応は下記のテキストを定めるが,必要な資料は毎回配付するので,購入はしなくてよい。

  • 『柳田國男自筆 原本 遠野物語』

    著者: 原本遠野物語編集委員会 編

    出版社: 岩波書店,2022年

参考書

  • 『注釈遠野物語』

    著者: 遠野常民大学 編

    出版社: 筑摩書房,1997年

  • 『柳田国男 遠野物語(NHK「100分de名著」ブックス)』

    著者: 石井正己

    出版社: NHK出版,2016年

  • 『説話文学研究の最前線─説話文学会55周年記念・北京特別大会の記録─』

    著者: 説話文学会 編

    出版社: 文学通信,2020年

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