言語社会学専門研究2
博士後期課程グローバル・スタディーズ研究科 - 国際関係論専攻
DFIR7590
コース情報
担当教員: 木村 護郎クリストフ
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火2
形式: 対面授業
レベル: 800
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
詳細情報
概要
⾔語は,政治,経済,社会のさまざまな領域と密接にからみあう,国際関係論において通底する要素といえよう。いかなる社会や組織も,言語に関して中立であることはできず,何らかの選択をする必要があり,それによって関係性の強化や弱体化,また包摂や排除を生み出す。 近代以降,⾔語はナショナリズムと深くむすびついてきた。しかしグローバル化のなかで,⾔語に関しても,ネーションをこえるさまざまな動きがみられる。 ナショナリズムと⾔語の結びつきが相対化されつつあるかのようにみえる現代社会における⾔語の社会・ 政治的側⾯,また社会や政治における⾔語の役割をめぐる主な論点を把握し, 履修者がそれぞれの関⼼領域にひきつけながら⾃分なりの⾒⽅を提⽰できるようになるのが目的である。 今学期は, 異なる言語,とりわけ多数派言語と少数派言語が国家や社会においてどのように共存できるかという,言語多様性にかかわる根本的な課題を検討したい。言語の社会的側面についての原理的な考察をふまえて,具体的な事例をとりあげて,言語問題の諸相をとりあげていく。 文献講読および履修者の文献発表とディスカッションが中心となる。
目標
・ 言語が中立的な「道具」 ではなく,社会の権力やイデオロギーと絡んでいるあり方を理解すること。 ・ 異なる言語(を話す人々)の共存に関わる課題と対処の方法として提起されていることを把握すること。 ・ 国際関係において⾔語がナショナリズムやグローバリズムなどとのかかわりで果たす役割について, 履修者自身の課題と関連づけて認識を深めること。
授業外の学習
学期前半:とりあげる文献を前もって読んで疑問や論点を用意しておくこと(190分程度)。 学期後半:自ら選んだ文献を読み,内容を紹介するとともに論点を用意しておくこと(190分程度)。
所要時間: 授業 1 回あたり 190 分。(時間数は目安)
スケジュール
- 導入 参加者の関⼼を考慮して相談しつつ, 論⽂・ 研究書を精読し議論することで参加者のそれぞれのテーマを深める場としたい。 以下は, 予定であり, 参加者との調整に応じて前後する可能性がある。
- 国際紛争と言語:ウクライナ/ロシア,パレスチナ/イスラエル紛争の言語的側面
- 概念整理:母語,母国語,民族語,国語,国家語といった概念の特徴と注意点
- 一つの「言語」とは何か:集団の境界と言語
- 言語とアイデンティティ
- 人権としての言語権
- 言語紛争の類型論:先住民族,少数民族,移民難民,言語内少数派
- 事例研究1:日本の言語問題
- 事例研究2:東アジアの言語問題
- 事例研究3:ヨーロッパの言語問題
- 参加者の問題関心発表(1)履修者自身のテーマに関する報告の提案
- 参加者の問題関心発表(2)履修者自身のテーマに関する報告の検討
- 参加者の問題関心発表(3)履修者自身のテーマに関する報告の議論
- まとめ
教科書
授業中に指示する
参考書
Language Conflict and Language Rights. Ethnolinguistic Perspectives on Human Conflict
著者: William D. Davies and Stanley Dubinsky
出版社: Cambridge University Press 2018