言語社会学専門研究1
博士後期課程グローバル・スタディーズ研究科 - 国際関係論専攻
DFIR7580
コース情報
担当教員: 木村 護郎クリストフ
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 火2
形式: 対面授業
レベル: 800
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
詳細情報
概要
⾔語は,政治,経済,社会のさまざまな領域と密接にからみあう,国際関係論において通底する要素といえよう。いかなる社会や組織も,言語に関して中立であることはできず,何らかの選択をする必要があり,それによって関係性の強化や弱体化,また包摂や排除を生み出す。 近代以降,⾔語はナショナリズムと深くむすびついてきた。しかしグローバル化のなかで,⾔語に関しても,ネーションをこえるさまざまな動きがみられる。ナショナリズムと⾔語の結びつきが相対化されつつあるかのようにみえる現代社会における⾔語の社会・政治的側⾯,また社会や政治における⾔語の役割をめぐる主な論点を把握し,履修者がそれぞれの関⼼領域にひきつけながら⾃分なりの⾒⽅を提⽰できるようになるのが目的である。 今学期は,政治,社会,経済,ジェンダーの諸領域をつなげて横断して論じている古典的著作であるイリイチの『シャドウ・ワーク』を批判的に考察する。言語は,他領域での現象のいわばひな形(モデル)として位置づけられている。この著作をとおして,国家による言語の管理をもたらした起源までさかのぼることで,国際関係の前提を問いなおして,主権国家の関係としての国際関係にゆらぎがみられる現代世界を考える一つの手がかりとしたい。 文献講読および履修者の文献発表とディスカッションが中心となる。
目標
・言語が中立的な「道具」ではなく,社会の権力やイデオロギーと絡んでいるあり方を理解すること。 ・国際関係において⾔語がナショナリズムやグローバリズムなどとのかかわりで果たす役割について,履修者自身の課題と関連づけて認識を深めること。
授業外の学習
学期前半:とりあげる文献を前もって読んで疑問や論点を用意しておくこと(190分程度)。 学期後半:自ら選んだ文献を読み,内容を紹介するとともに論点を用意しておくこと(190分程度)。
所要時間: 授業 1 回あたり 190 分。(時間数は目安)
スケジュール
- 参加者の関⼼を考慮して相談しつつ,論⽂・研究書を精読し議論することで参加者のそれぞれのテーマを深める場としたい。 以下は,予定であり,参加者との調整に応じて前後する可能性がある。
- 文献購読と議論(1)1章 平和とは人間の生き方
- 文献購読と議論(2)2章 公的選択の三つの次元
- 文献購読と議論(3)3章 ヴァナキュラーな価値
- 文献購読と議論(4)4章 人間生活の自立と自存にしかけられた戦争
- 文献購読と議論(5)5章 生き生きとした共生を求めて――民衆による探究行為――
- 文献購読と議論(6)6章 シャドウ・ワーク
- 参加者による発表と議論(1)履修者の提案による文献の検討
- 参加者による発表と議論(2)履修者の提案による文献の議論
- 参加者による発表と議論(3)履修者の提案による文献のまとめ
- 参加者の問題関心発表(1)履修者自身のテーマに関する報告の提案
- 参加者の問題関心発表(2)履修者自身のテーマに関する報告の検討
- 参加者の問題関心発表(3)履修者自身のテーマに関する報告の議論
- まとめ
教科書
イリイチ(玉野井芳郎, 栗原彬訳 )『シャドウ・ワーク』岩波文庫2023年 紀伊国屋書店の教科書販売で手配してあるので,早めに用意しておいてください。
参考書
書籍情報はありません。