中東近代史A
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS61200
コース情報
担当教員: 山口 昭彦
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水4
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
授業内期末試験
授業期間中
小テスト等
詳細情報
概要
古代文明以来の長い歴史をもつ中東地域ではさまざまな民族が往来し,いくつもの宗教が生まれた。そのため一つの国のなかで,あるいは一つの町や村のなかで異なる言語を話し異なる宗教を信じる人々がともに暮らすといったこともめずらしくない。こうした民族的宗教的多様性のために中東地域では民族や宗教をめぐる紛争や対立がたえないと考えられがちだが,歴史を振り返ってみると,異なる民族集団・宗教集団の間に一定の共存関係が築かれていたこともあった。では,なぜ,中東地域は,現在あるような深刻な諸問題をかかえるようになってしまったのだろうか。 この講義では,近代以降の政治変動の中でどのように少数派が形成され,彼らの政治的社会的統合をめぐって紛争が生み出されていったのかを考察する。具体的事例として,トルコ,イラク,イラン,シリア などにまたがるクルド人に焦点を当て,クルド人問題がどのように形成されてきたのかを取り上げる。
目標
以下の諸点を理解することを目指す。 1.中東地域において民族的・宗教的多様性と相互の共存関係がどのように成立していたのか。 2.近代化や国民国家の形成過程において民族集団や宗教集団の関係がどのように変容したのか。 3.中東をめぐる国際政治がこの地域の政治や社会をどのようにゆがめてきたのか。
授業外の学習
講義では中東地域の近代から現代にかけての歴史的変遷を概観するので,受講にあたっては,歴史の流れを常に頭に浮かべながら臨んでほしい。それには,以下のような授業時間外の学習が推奨される。 毎回の授業の前日あるいは当日に,前の回(あるいは,それまで受けたすべての回)の授業で配付した資料や自分で取ったノートの見直し:80分 授業後にノートや資料を再度確認し,疑問点など理解でなかった点がないかどうか,確認する:40分 理解できなかった点やさらに興味をもった問題などについて自分で自主的に文献などにあたり,理解を深める:70分
所要時間: 190分
スケジュール
- (以下の予定は授業の進行状況に応じて変更されることもある。その場合には授業の際に伝える。) 導入:中東における少数派問題への歴史学的アプローチ
- オスマン帝国における少数派
- オスマン帝国の近代とクルド地域支配の変容
- クルド・ナショナリズムの萌芽
- 第1次世界大戦と中東諸国体制の成立
- アルメニア人虐殺とクルド人
- トルコの独立とクルド人
- 「人工」国家イラクの成立とクルド人
- 第2次世界大戦期イランのクルド民族主義運動
- イラク革命(1958)後のクルド民族主義運動
- イラン=イラク戦争(1980-88)とクルド民族主義運動
- トルコにおけるクルド民族主義運動の再生
- 湾岸戦争とクルド人問題の変容
- 授業内試験
教科書
教科書は使わず,毎回,資料を配付する。
参考書
『クルド人を知るための55章』
著者: 山口昭彦編著
出版社: 明石書店,2019年