シーア派社会論
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS60300
コース情報
担当教員: 山口 昭彦
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 木4
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
授業内期末試験
授業期間中
小テスト等
詳細情報
概要
イスラームの2大宗派のひとつであるシーア派はスンナ派と対比されて「異端」と誤解されることがあるが,実際には,教義や儀礼の点でスンナ派と異なるというだけであって,「過激」でも「異端」でもない。とはいえ,宗派の違いが信仰のあり方の違いにとどまらず,社会や国家権力のあり方をも規定してきたのも事実である。それを象徴するのが,国民の大半をシーア派信徒が占めるイランの場合である。もともと,その国土の広さもあってイランは中東地域の大国として近現代史を通じ強い政治的社会的影響力を誇ってきた。くわえて1979年に起こったイラン革命では,王制(パフラヴィー朝)が打倒されて,ウラマー(宗教学者)が政治の主導権を握る「イスラーム共和制」という特異な政治体制が誕生した。 この授業では,シーア派国家イランに焦点を当てながら,まずは歴史的にシーア派がどのように形成され,どのような教義をもつ宗派であるかを解説し,ついでイランにおいてなぜ国教となったのか,また,シーア派ウラマーたちがどのようにイランの国家権力と関わってきたのかをたどる。コースの後半では,近代以降のイランの政治をたどり,イラン革命がどのような経緯で起こったのか,なぜイスラーム共和制という特異な体制が築かれることになったのかなどを理解することをめざす。イランの事例をもとに現代中東地域における政治と宗教との関わりを考えるのが,本授業の目的である。
目標
以下の点についての理解を深める。 1.イスラーム社会において宗派の違いがどのような意味をもっているのか。 2.国家権力と宗教との関係がどのように歴史的に変化してきたのか。 3.宗派的な違いが現代中東の政治においてどう作用しているのか。
授業外の学習
講義ではイランを中心とする中東地域の近世から現代にかけての歴史的変遷を概観するので,受講にあたっては,歴史の流れを常に頭に浮かべながら臨んでほしい。それには,以下のような授業時間外の学習が推奨される。 毎回の授業の前日あるいは当日に,前の回(あるいは,それまで受けたすべての回)の授業で配付した資料や自分で取ったノートの見直し:80分 授業後にノートや資料を再度確認し,疑問点など理解でなかった点がないかどうか,確認する:40分 理解できなかった点やさらに興味をもった問題などについて自分で自主的に文献などにあたり,理解を深める:70分
所要時間: 190分
スケジュール
- (以下の予定は授業の進行状況に応じて変更されることもある。その場合には授業の場でその旨伝える。) 導入:イランという国
- シーア派の形成
- 近世イランにおけるシーア派国教化
- シーア派ウラマーの政治的社会的影響力増大
- 近代イラン史概観
- シーア派ウラマーの序列化と新たなシーア派運動
- 近代イランにおける民衆運動とシーア派ウラマー
- 近代イランにおける立憲運動とシーア派ウラマー
- イラン現代史(パフラヴィー朝史)概観
- パフラヴィー朝とシーア派ウラマー
- イラン革命(1979)と「法学者の統治」
- イラン革命と中東のその後
- 映像から見るイラン革命
- 授業内試験
教科書
教科書は使わず,毎回,資料を配付する。
参考書
授業中に紹介する。