EUと紛争解決

総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)

BGS60200

コース情報

担当教員: 中内 政貴

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火2

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

20%

定期試験

定期試験期間中

60%

小テスト等

20%

詳細情報

概要

欧州統合において,ドイツとフランスをはじめ国家間の武力紛争を防止することは当初より重要な目的であった。1990年代以降,冷戦の枠組みが崩壊したことにより,世界各地の地域紛争や内戦が注目を集めるようになり,1993年に発足したEUは,欧州内外の紛争を解決することを試みてきた。それは,人権や民主主義を重要な価値として奉じるEUにとっては当然の行動ともいえるが,同時にEU自身のパワーの源とするために紛争解決に関わっている部分も存在する。軍事部隊を含めた制度面の整備など,紛争解決に向けた試行錯誤を積み重ねてきたEUであるが,ロシアによるウクライナ侵攻に直面する中で,改めてその存在意義が問われている。 本講義では,そもそも紛争に対して外部の行為主体(アクター)が関与を試みることの意味を,国際関係の近現代史を振り返りながら考察する。その上で,国際規範を作り出し伝播させていこうとするEUの政策に触れ,EUと紛争との関係について考察と分析を行う。

目標

・外部の行為主体(アクター)による紛争への関与の歴史とその意義や限界について理解する ・EUの規範政治について理解し,自ら分析と考察を行えるようになる ・EUと紛争との関係について理解し,自ら分析と考察を行えるようになる

授業外の学習

最低でも,各週の講義内容の復習およびリアクションペーパーの作成に60分程度,事前講読資料の内容把握と次回講義の予習に70分程度,ディスカッションに向けて各自の考えをまとめ,追加的な調査の実施に60分程度を行うことが求められる。

所要時間: 190分以上

スケジュール

  1. イントロダクション:欧州統合の原点と紛争
  2. 紛争と国際的な関与の歴史(1):戦争の総力戦化
  3. 紛争と国際的な関与の歴史(2):第一次世界大戦と戦争禁止の試み
  4. 紛争と国際的な関与の歴史(3):第二次世界大戦と集団安全保障体制
  5. 紛争と国際的な関与の歴史(4):冷戦下での介入
  6. 紛争と国際的な関与の歴史(5):冷戦の終焉と国連への期待
  7. 紛争と国際的な関与の歴史(6):人権規範と人道的介入
  8. 紛争と国際的な関与の歴史(7):対テロ戦争時代の介入
  9. EUの共通外交・安全保障と旧ユーゴ紛争(1)クロアチア紛争,ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争
  10. EUの共通外交・安全保障と旧ユーゴ紛争(2)コソヴォ紛争
  11. EUの拡大と紛争解決
  12. EUとロシアー旧ソ連圏の「凍った紛争」をめぐって
  13. 「保護する責任」論の登場とEU
  14. まとめ:地域統合は紛争にどのような影響をもたらすのか

教科書

追加文献について授業内で指示する。

  • 『外交・安全保障政策から読む欧州統合』

    著者: 中内政貴,田中慎吾編著

    出版社: 大阪大学出版会,2023年

  • 『世界変動と脱EU/超EU―ポスト・コロナ,米中覇権競争下の国際関係』

    著者: 岡部みどり編著

    出版社: 日本経済評論社,2022年

  • 『国際平和とは何か—人間の安全を脅かす平和秩序の逆説』

    著者: 吉川元

    出版社: 中央公論新社,2015年

参考書

  • 『紛争解決の国際政治学ーユーロ・グローバリズムからの示唆』

    著者: ジョナサン・ルイス,中満泉,ロナルド・スターデ(編著)

    出版社: ミネルヴァ書房,2010年

  • European Union Politics (6th Edition)

    著者: Michelle Cini, Nieves Pérez-solórzano Borragán

    出版社: Oxford University Press, 2019

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