EUと地域主義

総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)

BGS60100

コース情報

担当教員: 中内 政貴

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金3

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

20%

定期試験

定期試験期間中

60%

小テスト等

20%

詳細情報

概要

この授業では,まずEUを中心に地域主義・地域統合の歴史を振り返り,現状と課題を浮き彫りにする。欧州統合の源流の一つには,冷戦構造下で,複数の国家がまとまることによって欧州の復権を目指す考え方があった。冷戦後に欧州統合はEUへと結実し,そのEUは自らをグローバル・パワーの一つと規定するに至っている。 ところが今日のEUは英国の離脱に象徴される「再国民化」や国家の復権の動きに直面し,統合と分裂の二つのベクトルがせめぎ合う中で,さらにロシアによるウクライナ侵攻に直面し,新たにウクライナを含む諸国を加盟させる政策をとっている。欧州懐疑主義やポピュリズムの影響が広がり,EU瓦解の可能性すらささやかれる中で,地域主義の先進モデルであったEUの事例から学べる点は多い。 また,地域主義は,グローバリゼーションとそれを管理する試みのせめぎ合いとして捉えることもできる。金融・経済危機や感染症のパンデミックによってグローバリゼーションの弊害が露わとなる中,欧州のみならずアジアやアフリカの地域主義の動向を的確に捉えることは,今後の世界を展望するうえでも有用であり,本講義では広く地域主義を分析する視点の涵養を目指す。

目標

・EUおよび地域主義についての知識を深め,新聞や専門雑誌の記事を難なく理解できるようになる ・地域主義というレンズをとおして,今日の国際社会の動きについて,自らの視点で分析を行えるようになる

授業外の学習

最低でも,各週の講義内容の復習およびリアクションペーパーの作成に60分程度,事前講読資料の内容把握と次回講義の予習に70分程度,ディスカッションに向けて各自の考えをまとめ,追加的な調査の実施に60分程度を行うことが求められる。

所要時間: 190分以上

スケジュール

  1. イントロダクション:グローバリゼーションと地域主義
  2. 地域主義の歴史と国家主権(1):欧州統合の原点
  3. 地域主義の歴史と国家主権(2):第一次世界大戦〜戦間期の議論
  4. 地域主義の歴史と国家主権(3):第二次世界大戦後のせめぎ合うイニシアティブ
  5. 地域主義の歴史と国家主権(4):冷戦による地域への影響
  6. 地域主義の歴史と国家主権(5):冷戦の変容と地域主義
  7. 地域主義の歴史と国家主権(6):冷戦後の混乱と地域統合への注目
  8. 地域主義の歴史と国家主権(7):欧州統合の深化と拡大
  9. 地域主義の歴史と国家主権(8):EUの隆盛と苦境
  10. 地域主義の理論と現実:欧州中心主義を超えて
  11. 地域主義の活発化(1):東アジアの地域主義の動向
  12. 地域主義の活発化(2):アフリカの地域主義の動向
  13. 地域主義の活発化(3):南北アメリカの地域主義の動向
  14. まとめ:グローバリゼーションと地域主義の今後

教科書

追加の文献について,授業内で指示する。

  • 『欧州統合史—二つの世界大戦からブレグジットまで』

    著者: 益田実,山本健(編著)

    出版社: ミネルヴァ書房,2019年

  • 『ヨーロッパ統合史[増補版]』

    著者: 遠藤乾(編)

    出版社: 名古屋大学出版会,2014年

参考書

  • 『外交・安全保障政策から読み解く欧州統合』

    著者: 中内政貴,田中慎吾編著

    出版社: 大阪大学出版会,2023年

  • 『【原典】ヨーロッパ統合史ー資料と解説ー』

    著者: 遠藤乾(編)

    出版社: 名古屋大学出版会,2008年

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