中東イスラーム思想論
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS56800
コース情報
担当教員: 加藤 瑞絵
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水3
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
リアクションペーパー
レポート
その他
学期末レポートとは別に,中間レポート(A4用紙1枚程度)を12月中に提出すること。中間レポートの詳細については初回授業にて連絡する。なお,出席回数が授業回数の2/3に満たない者は,原則として評価の対象としない。止むを得ない事情がある場合には,個別に相談すること。
詳細情報
概要
この授業では,イスラームの聖典『クルアーン』からはじめて,法学,神学,哲学といった伝統的諸学の成立とその概要,禁欲主義とスーフィズム,聖者信仰,また,シーア派等の分派形成について講義を行なう。イスラームの伝統的宗教思想に関して,取り上げる時代は中世が中心となるが,近代以降の思想的展開,今日の急進派イスラーム主義(いわゆるイスラーム原理主義)についても議論を広げていく。 総合グローバル学科開講の専門科目として,イスラーム思想に関する専門的な知識を提供する。 基本的に講義形式の授業となるが,毎回リアクションペーパーを記入し,授業内容を振り返って疑問点を明確化したり,自分の考えをまとめたり,あるいはテーマに関連する問題について考察したりする時間を設ける(なお,受講生の人数に応じて,プレゼンテーションやディスカッションの時間を設ける可能性もあります)。
目標
(1)イスラームの伝統的宗教思想とその文化に関する知識を習得する。 (2)イスラーム文化の普遍性と多様性について理解する。 (3)イスラーム独自の思考様式に触れ,私たちとは異なる伝統文化への理解を深める。 (4)授業で得た知識をもとに,イスラームに関連する諸問題を自分なりの視点で考察し,適切に表現できる。
授業外の学習
(1)本講義では特別な予習は必要としないが,毎回の授業後にその内容を復習した上で次回の授業に臨むこと(20~30分程度)。 (2)授業で紹介する文献や配布資料を読んで理解を深める。生じた疑問点や興味を持った点について調査する(120分程度)。 (3)中間レポート及び学期末レポートのための調査と考察,まとめをする(40~50分程度)。
所要時間: 190分
スケジュール
- 預言者ムハンマド没後の共同体と諸学の展開(授業全体の見通し,進め方についても説明する。授業の進捗状況や受講者の反応等を考慮して,以下の授業計画には若干の変更を加える可能性があります)
- 聖典『クルアーン』の編纂とその概容
- イスラーム法学(1):四大法学派の成立とイスラーム法の基本的思考法
- イスラーム法学(2):イスラーム法の実践
- イスラーム初期の分派形成:ハワーリジュ派とシーア派
- クルアーンや伝承にみる伝統的人間観・世界観
- イスラーム神学:ムウタズィラ神学派とアシュアリー神学派
- イスラーム哲学:代表的な哲学者とその思想,哲学的世界観
- 神学と哲学の小まとめ:啓示と理性の関係
- 禁欲主義,スーフィズム(イスラーム神秘主義)の成立
- スーフィズムの展開:修行論,教団,聖者崇拝
- イスラーム復古主義運動の成立と展開
- 今日の急進派イスラーム主義勢力の組織と活動
- イスラームにおける宗教間対話の試み
教科書
テキストは使用せず,適宜プリントを配布する。
参考書
イスラームの基礎について未習の方は,以下の1,2に挙げる文献を読まれることをお勧めする。その他の参考書については,授業内で随時紹介する。
『イスラム:思想と歴史』
著者: 中村廣治郎
出版社: 東京大学出版会,1977年初版(2012年新装版)
『イスラームの歴史1,2』(世界の宗教史11,12)
著者: 佐藤次高,小杉泰他(編)
出版社: 山川出版社,2010年
『岩波イスラーム辞典』
著者: 大塚和夫他(編)
出版社: 岩波書店,2002年