中東イスラーム史(前近代)
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS56000
コース情報
担当教員: 松尾 有里子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金2
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
10%
授業参加
10%
リアクションペーパー
20%
定期試験
定期試験期間中
60%
詳細情報
概要
オスマン帝国(1299-1922)の前近代(14~19世紀初頭)の約500年の歴史を中心に講義する。一般にこの王朝はコンスタンティノープルの征服など世界史上よく知られた事件から想起される軍事中心の国家とみなされがちである。しかし,現在の中東,バルカン,北アフリカ諸国の前提にはこの帝国の存在が関わっていた事実を忘れてはならない。多民族・多宗教の集団を統治した共存のシステムとはどのようなものであったのか。毎回テーマを設定し歴史的トピックを交えて検討していく。特に17~18世紀の「第二帝国」と呼ばれた時代の国家変容期について新たな研究成果をもとに考察していく。
目標
オスマン帝国の長命な支配を可能としたメカニズムはどのようなものであったのだろうか。バルカン・中東・北アフリカ地域の「近代」以降を考えるうえでの新たな視座を得ることを目標とする。
授業外の学習
予習として毎回配布するレジュメを熟読し,次回の授業に備えてください。その際,さらに歴史用語について調べる必要があれば参考文献を参照してください。次回の授業までに疑問点等を整理して,自分の意見を述べられるようにしておいてください。
所要時間: 190分
スケジュール
- 世界史のなかにオスマン帝国を位置づけると何が見えてくるか? ・オスマン帝国史を理解する視点・オスマン朝の勃興
- 「帝国」への道 コンスタンティノープルの征服と帝都イスタンブルの誕生
- イスラーム都市イスタンブルの誕生 (1)人口回復策と異教徒との共生
- イスラーム都市イスタンブルの誕生 (2) 街区の形成と宗教寄進(ワクフ制度)
- 壮麗王スレイマンの時代(1) 軍事封土制度と軍人エリート
- 壮麗王スレイマンの時代(2) イスラーム知識人(ウラマー)の台頭
- 壮麗王スレイマンの時代(3) オスマン帝国の司法行政ーイスラーム法廷ー
- 壮麗王スレイマンの時代(4) ハレム(後宮)制度と女人の統治
- オスマン衰退論と諸問題 軍事国家から財政国家への変貌
- 第2オスマン帝国(The second Ottoman Empire)の誕生 新たな統合の時代へ
- 近世オスマン地方社会の実像 ボスニアのイスラーム法廷に生きる人びと
- 近世の社会変容と地方名士の誕生 ウラマーの家系を中心に
- オスマン帝国とヨーロッパ チューリップ時代の幕開け
- 総括: オスマン帝国と近代 近代化改革を理解する視点
教科書
最新の研究動向を紹介しながら授業を進めるため,現時点では指定せず,授業の際にレジュメ,資料の中で提示する。
参考書
『オスマン帝国500年の平和』(興亡の世界史10)
著者: 林佳世子
出版社: 講談社・2008
『オスマン帝国ー繁栄と衰亡の600年史ー』
著者: 小笠原弘幸
出版社: 中公新書・2018
『ワードマップ イスラームー社会生活・思想・歴史』
著者: 小杉泰・江川ひかり編
出版社: 山川出版社・2002