グローバル化と発展途上国

総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)

BGS54300

コース情報

担当教員: 高島 亮

単位数: 4

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火3, 金2

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

授業内期末試験

授業期間中

70%

中間試験

授業期間中

30%

詳細情報

概要

世界のほとんどの国の経済が市場経済制度をベースに機能しつつ,各々の経済は相互に影響しあい,また同時に世界経済の影響を逃れ得ない。途上国経済もその例外ではなく,経済の自由化やグローバル化が急速に進み,その恩恵とリスクを常に合わせ持つ。本講義ではそうした途上国経済で見られる諸現象の中でもマクロ経済の側面に絞って考察することを目標とする。週2回4単位の授業である点に注意するように。必須ではないが,事前に「グローバル化と経済学」の講義を履修しているとより体系的に学べてよい。 どんなにグローバル化した経済でも市場経済としての特性を失うわけではない。前半ではまず,グローバル経済との関係を考慮せず,一市場経済においてどのように生産,所得,雇用(失業),物価,利子率などが決まるのかを学ぶ。また,政府や中央銀行の政策がこうしたマクロ経済の諸現象にどの様な影響を及ぼすのか,マクロ経済モデルを用いて考察する。 後半ではまず,国際収支の概念を理解することで,(途上国)経済が世界経済とどのように結ばれているか,すなわちモノ・カネ(資本)がどのように国境をまたいで移動しているのかを考察する。また,これに伴い異なる通貨の交換が起こるため,為替の概念や決定メカニズムを学ぶ。続いて,前半で学んだマクロ経済モデルをグローバル化した経済に当てはめて分析する。最後に,多くの途上国が金融(資本)市場を自由化・グローバル化する過程において経験してきた金融危機・債務危機・通貨危機について,これまで学んだ国際収支やマクロ経済モデルを用いて考察する。 新聞などを通して国内外の社会問題に常に目を向ける習慣は持っているべきである。この講義で学ぶことがそれら時事問題の理解へとつながる。

目標

・国民所得の概念,定義および指標を理解し応用して使うことができる。 ・物価とインフレ率の概念を理解し応用することができる。 ・失業率の指標を理解し応用することができる。 ・貨幣市場と信用市場の概念を理解し,利子率・貯蓄・設備投資の決定メカニズムを述べることができる。 ・財政政策と金融政策の役割と経済に与える影響のメカニズムについて述べることができる。 ・マクロ経済モデルを用いて経済の諸現象を説明することができる。 ・国際収支およびその他すべての収支の概念を理解しデータを分析することができる。 ・国際収支を用いて途上国経済がどのように世界経済と結びついているかデータを用いて分析することができる ・為替レートの決定メカニズムを述べることができる。 ・国際資本移動とその自由化に伴って抱えるジレンマを説明することができる。 ・金融危機や債務危機の歴史的経緯を説明することができる。 ・金融危機や債務危機の原因を述べることができる。

授業外の学習

・講義ノートに基づいて復習する。(40分) ・講義の進行に合わせて,参考書の該当するページを読む。(60分) ・授業で紹介した指標のデータをインターネット及び図書館資料で確認する。(30分) ・国内および関心地域の新聞をよみ,講義を踏まえて考察する。(30分) ・その他,指定された課題を行う。(30分)

所要時間: 授業 1 回あたり 190 分以上

スケジュール

  1. イントロ(マクロ経済学・ミクロ経済学とは)
  2. 経済制度としての資本主義市場経済
  3. 合理的意思決定と市場経済
  4. 効率性(消費,生産,市場経済)
  5. 循環フロー図とマクロ均衡
  6. 国民所得(1)定義と指標
  7. 国民所得(2)名目と実質
  8. 国民所得(3)購買力平価換算
  9. 物価と生活コスト
  10. 失業
  11. 経済成長(途上国の視点)
  12. 貨幣市場と信用市場
  13. 貯蓄,設備投資,金融(閉鎖経済)
  14. 財政政策と金融政策(閉鎖経済)
  15. 総需要と総供給(閉鎖経済)
  16. 国際収支(1)
  17. 国際収支(2)
  18. 為替と通貨市場
  19. 為替レートの決まり方
  20. 貯蓄,設備投資,金融(開放経済)
  21. 財政政策と金融政策(開放経済)
  22. 総需要と総供給(開放経済)
  23. 国際貿易:自由化とその功罪(途上国の視点)
  24. 国際資本市場と資本移動:先進国から途上国へ
  25. 資本移動:開発援助,直接投資(FDI),証券・債券
  26. 海外投資と資本移動:自由化とその功罪(途上国の視点)
  27. 金融危機・債務危機・通貨危機:歴史的考察
  28. 金融危機・債務危機・通貨危機:その原因
  29. 資本市場の自由化:その功罪と直面するジレンマ(途上国の視点)
  30. まとめ

教科書

テキストは特に定めないが,以下の文献を参考書として挙げる。その他の参考書・参考文献については随時授業の中で紹介する。いづれも大学図書館にある。

    参考書

    • 現代経済学入門 マクロ経済学 第3版

      著者: 吉川 洋

      出版社: 岩波書店 2013

    • はじめて学ぶ 国際経済 新版

      著者: 浦田秀次郎・小川英治・澤田康幸

      出版社: 有斐閣アルマ 2022

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