国際政治経済論(経済学的アプローチ)2
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS54103
コース情報
担当教員: 下川 雅嗣
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
場合によっては指定したブックレポート提出で20点分加点する可能性もあるが,これについては開講後,受講生と相談した上で決定する。
詳細情報
概要
全世界で75億人(9%)の人々が極度の貧困(1日2.15ドル以下)の中で生活している(1日4.3ドル以下だと23億人(30%):2019年by世界銀行)。しかもこのうち3.9億人は盛んに国際協力が行われているはずのサハラ以南アフリカの人々であり,この20年間で増加の一途をたどっている。さらにCovid 19の影響もあり,世界銀行の推計では2020年には7.1億人に増加。また富裕国と貧困国との格差は一貫して拡大し続け,先進国内の貧富の差も拡大し続けている現状において,貧困や格差の問題,如何に発展していくかは国際政治経済問題の大きな領域である。本講義では,貧困問題の概説,アジアを中心に第三世界都市貧困の現状,貧困者自身の様々な創意工夫のある試み・主体的運動及びその可能性,貧困解消に取り組む住民・NGO・国家・国際機関の役割について,貧困者の視点から現実を紹介しながら論じる。また,時間の許す限り日本国内での貧困問題についても言及したい。なお,以下の授業計画は暫定的なものなので,若干変更する可能性がある。授業の最後に出席カードの裏にリアクションを記入してもらい,次週の冒頭にてフィードバックを行う。(この授業は経済学的アプローチと記載されているが,経済学を学んでなくても履修に支障はない。)
目標
グローバル化した現代社会のきわめて大きな問題である貧困と格差の現実を知り,それらを生み出す構造を理解する。その上で,すべての人がより人間らしく生きることのできる社会を作っていくために何ができるのかを主体的に考え,実践できる人となることを目指す。
授業外の学習
授業の内容をこまめに復習すること(100分)。また,扱う各テーマについて参考文献が示されている場合は,時間の許す限りそれらを読み,理解を深めることが勧められる(90分)。学期末試験については,事前に準備のポイント(範囲は授業全部)を知らせるので,授業内容に沿って議論をまとめておく必要がある。
所要時間: 190分
スケジュール
- ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 イントロダクション,貧困の定義
- 第三世界(発展途上国)の貧困問題概説(課題,リソース)
- 第三世界(発展途上国)の貧困問題概説(MDGs,SDGs)
- 第三世界(発展途上国)の貧困問題概説(データ)
- 日本の貧困について
- 貧困と格差(不平等):世界の不平等
- アジアの都市貧困層の現状と開発政策における位置付け
- アジアの都市貧困層の厳しい現実Ⅰ:強制排除の概要,都市(再)開発と貧困層の排除
- アジアの都市貧困層の厳しい現実Ⅱ:政府開発援助,居住権
- アジアの都市スラムの人々の可能性Ⅰ:土地・住居へのアクセス,コミュニティ組織化
- アジアの都市スラムの人々の可能性Ⅱ:貧困者居住運動の発展
- アジアの都市スラムの人々の可能性Ⅲ:クレジット・財市場へのアクセス
- 新たな発展(開発)モデルⅠ:これまでの開発援助と視点を変える必要性
- 新たな発展(開発)モデルⅡ:貧困者の歩み(People's Process)の発展,People's Processのグローバルなネットワークへ
教科書
特に定めない。
参考書
下記以外の参考文献については初回の授業及びその都度紹介する。
『貧困・開発・紛争:グローバル/ローカルの相互作用』(地域立脚型グローバル・スタディーズ叢書第3巻)
著者: 幡谷則子,下川雅嗣[編著]
出版社: 上智大学出版会・2008年