国際政治経済論(経済学的アプローチ)1
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS54102
コース情報
担当教員: 下川 雅嗣
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
場合によっては指定したブックレポート提出で20点分加点する可能性もあるが,これについては開講後,受講生と相談した上で決定する。
詳細情報
概要
現代国際政治経済の諸問題を,政治学ではなく経済学の立場から講義する。といっても経済学を全く知らない者でも受講に支障はないはずである。つまり,経済学の基礎的な理解があることが望ましいが,それを前提とはしていない。扱うトピックスは,貿易政策の政治経済学(自由貿易擁護論の是非),国際交渉・貿易協定の経済学的基礎,国際経済体制,地域経済統合,経済のグローバル化等である。グローバル化では,財とサービスの貿易のみならず,労働移動・資本移動の自由化,知的所有権の問題も含めて,その利益と問題等ついて論じる。講義全体において,できるだけ途上国側の視点にも触れていきたい。なお貧困問題については「国際政治経済論(経済学的アプローチ)2」で集中的に扱うので続けての受講を勧める。
目標
広い視野に立って,現代社会について主体的に考察し,理解を深めることによって,人間の尊厳を大切にする国際社会の有為な形成者として必要な資質を養う。現代の国際社会の一つの特徴は,経済のグローバル化の進展であろう。しかしながら,国際社会や国内政策における政治的議論,新聞等のマスコミの論調においては,経済の基本メカニズムを理解していない議論,経済学的にはおかしな議論が多数見受けられる。そのような俗説にまどわされずに,自分で国際政治経済の現実と諸問題をより深く理解し,分析していけるようになること,具体的には下記領域の新聞の経済記事を読めるようになり,さらにその論調の間違いや偏りにごまかされないようになることがこの授業の到達目標である。
授業外の学習
授業の内容をこまめに復習すること(100分)。また,扱う各テーマについて参考文献が示されている場合は,時間の許す限りそれらを読み,理解を深めることが勧められる(90分)。学期末試験については,事前に準備のポイント(範囲は授業全部)を知らせるので,授業内容に沿って議論をまとめておく必要がある。
所要時間: 190分
スケジュール
- ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 イントロダクション:国際政治経済学と経済学,経済・政治・文化
- 貿易政策と政治経済学Ⅰ:基本的理解(静学的議論と動学的議論)
- 貿易政策と政治経済学Ⅱ:レントシーキング活動と新自由主義
- 貿易政策と政治経済学Ⅲ:自由貿易擁護論と反対論①
- 貿易政策と政治経済学Ⅲ:自由貿易擁護論と反対論②
- 国際交渉・国際貿易協定の経済学的基礎
- 国際交渉と国際経済体制(GATT及び多角的貿易交渉(ラウンド)の歴史)
- 国際経済体制(WTOの歴史と現状)
- 国際経済体制における南北対立の財の貿易以外の主要課題Ⅰ: 知的所有権(TRIPS),サービス貿易の自由化(GATS,TiSA)
- 国際経済体制の財の貿易以外の問題Ⅱ: 投資の自由化(TRIMs他),人の移動
- 地域経済統合I:地域貿易協定(差別的貿易協定)の経済学的基礎
- 地域経済統合II: 世界の自由貿易協定(EU,NAFTA,MERCOSUR,UNASUR,AEC他)
- 地域経済統合Ⅲ:日本の自由貿易協定(TPP,RCEP他)
- グローバリゼーションまとめ: (特に,労働移動,資本移動,海外直接投資と多国籍企業について)
教科書
特に定めない。参考文献について詳細は初回の授業で紹介する。
参考書
International Economics: Theory and Policy, 12th Edition (日本語訳『クルーグマン国際経済学 理論と政策 〔原書第10版〕上:貿易編』)
著者: Krugman, P. R. , Obstfeld, M. and Melitz, M
出版社: Pearson Education Limited, 2022
Fair Trade For All; How Trade Can Promote Development (日本語訳『フェアトレード:格差を生まない経済システム』)
著者: Stiglitz,J. and Charlton,A.
出版社: 日本経済新聞出版社, 2007
People, Power and Profits: Progressive Capitalism for an Age of Discontent(日本語訳『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』)
著者: Stiglitz, J.
出版社: 東洋経済新報社, 2020