国際経済学2
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS54001
コース情報
担当教員: 下川 雅嗣
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火3
形式: 同時双方向型授業(Zoomなど)
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
評価要素30%となるリアクションペーパーとは,毎回お願いするリアクションのことではなく,Moodle上「課題」として提示するものである。授業期間中,合計3回程度書いてもらう予定。特に深く学びたいもののために,指定された書籍のブックレポート提出で20点分加点する予定であるが,これについては初回の授業で説明する。
詳細情報
概要
国際経済学1の講義内容を前提として,さらに国際経済の理論及び現実経済への応用的側面も扱いながら,より社会を深く観る目を養うことを目的とする。国際経済学1で紹介した貿易理論を用いて,国の経済成長,援助等の所得移転,関税等の貿易政策がその国や他の国々にどのような影響を及ぼすのかの分析を行う。また各種貿易政策の厚生分析,規模の経済から生じる産業内貿易,さらに発展途上国の工業化のための貿易政策,先進国の産業貿易政策等を扱う。その際,貧困国側の視点にも触れて見たい。なお,国際経済学1と2は連続した講義であるので,国際経済学1の受講またはそれに相当するレベルの経済学の理解が前提である。授業の最後に出席カードの裏にリアクションを記入してもらい,次週の冒頭にてフィードバックを行う。
目標
広い視野に立って,現代社会について主体的に考察し,理解を深めることによって,人間の尊厳を大切にする国際社会の有為な形成者として必要な資質を養う。特に,国際経済に関わる政治的議論,新聞等のマスコミの論調においては,経済の基本メカニズムを理解していない議論,経済学的にはおかしな議論が多数見受けられる。国際経済,その中でも貿易や貿易政策に関わる分野でそのような俗説にまどわされず,論理的思考とそれに基づく主体的な判断ができるよう,経済学の基本的考え方や国際経済の基礎理論を身につける。
授業外の学習
復習が重要である。この授業では,論理的思考の表現として,図(グラフ)を多用する予定である。この図示においては,完成した図を写すことや覚えることはあまり意味がなく,メカニズムを表すために書く順番が重要であり,その図をメカニズムに沿って自分で正しい順番で書けるようになることが重要である。よって,毎回の授業後に,忘れないうちに自分でメカニズムを考えながら順番どおりに図を書いていく復習が必要である(100分)。なお,復習だけではついていけそうにない場合は,初回に配布する詳細シラバスにおいて指定した参考書の該当箇所を事前に読んでおくことを勧める(なお,これらの該当箇所は,授業で講義する内容や視点とは必ずしも一致しないが,参考にはなるはずである:60分)。なお学期中3回ほど課題を出すのでそれにこたえること(60分)。それ以外に,この毎回の授業はそれぞれ論理的につながっているので,適宜,全体の論理の流れについて,復習してください(30分)
所要時間: 190分
スケジュール
- ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 イントロダクション:国際経済学1の概要紹介(復習)
- 貿易の標準モデルⅠ:交易条件
- 貿易の標準モデルⅡ:経済成長,所得移転(海外援助)の影響
- 貿易の標準モデルⅢ:関税や輸出補助金等の貿易政策の影響
- 規模の経済と国際貿易Ⅰ:産業内貿易
- 規模の経済と国際貿易Ⅱ:外部経済と国際貿易
- 国際貿易の厚生効果と貿易政策Ⅰ:一般均衡分析と部分均衡分析,余剰分析
- 国際貿易の厚生効果と貿易政策Ⅱ:関税,輸入割当,輸出補助金の厚生効果
- 発展途上国における貿易政策Ⅰ:輸入代替工業化政策
- 発展途上国における貿易政策Ⅱ:輸出促進工業化政策
- 発展途上国における貿易政策Ⅲ:事例紹介,発展途上国の貿易政策と先進国
- 先進国の産業貿易政策Ⅰ:戦略的貿易政策
- 先進国の産業貿易政策Ⅱ:事例紹介
- 前回までにやり残したこと,まとめ,試験準備(場合によっては特別なトピック講義)等。
教科書
テキストをすべて説明するわけではないので,必ずしも購入を必要とするわけではない(準テキスト扱い)。以下2つは日本語訳と原書である。日本語訳は原書を2冊に分割されている。授業計画の1~8と12,13は主にテキスト1及び2に準ずる。また授業計画の9~11は下記テキスト3,参考書2に準ずる。詳しくは初回授業で説明する。
クルーグマン国際経済学 理論と政策 〔原書第10版〕上:貿易編
著者: Krugman, P. R., Obstfeld,M. and Melitz, M. (山形 浩生,守岡 桜 翻訳)
出版社: 丸善出版・2017
International Economics: Theory and Policy, 12th Edition
著者: Krugman, P. R. , Obstfeld, M. and Melitz, M.
出版社: Pearson Education Limited, 2022
Development Economics
著者: Debraj Ray
出版社: Princeton University Press・1998
参考書
国際経済学入門
著者: 古沢泰治
出版社: 新世社・2022
はしごを外せ―蹴落とされる発展途上国
著者: ハジュン・チャン著(横川信治, 張馨元, 横川太郎訳)
出版社: 日本評論社・2009
国際経済学をつかむ(第2版)
著者: 石川 城太・菊地 徹・椋 寛
出版社: 有斐閣・2013