フィールドワーク論
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS51200
コース情報
担当教員: 福武 慎太郎
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金1
形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
レポート
定期試験
定期試験期間中
詳細情報
概要
本講義は,人類学の研究手法である参与観察からはじまった調査法と,その成果の記録法であるエスノグラフィ(民族誌)について紹介します。太平洋諸島,アフリカなどの異文化社会に一人きりで,長期間にわたって滞在し,儀礼や社会構造について観察,記録をとることからはじまった人類学的フィールドワークは,その後,様々な研究に応用されるようになりました。参与観察とエスグラフィは,異文化社会の理解のみに役立つものではありません。私たちの身の回りのさまざまな事象について,新たな視点を提供してくれる,知的興奮に満ちた研究手法です。 とはいえ,ビッグデータの時代,データサイエンティストの育成が大学で求められる時代,フィールドワークが目指していることは時代に逆行しているかもしれません。ネット検索に頼ることなく,野外に出て社会を直接観察し,名も無き人々の話に耳を傾ける。もし時代の趨勢に乗り遅れたくないなら,この講義を受講するのは時間の無駄であるかもしれません。しかし,もしあなたがもっと自由でありたい,自分を変えたい,社会を変えたいと考えているのなら,この講義で議論されることに,そのための手がかりがあるかもしれません。 講師は,これまで東南アジア,とくにインドネシア,東ティモールの農山村でフィールドワークを実施してきたほか,日本国内の農山村,離島でも大学生とともにフィールドワークをおこなってきました。うまくいったこともあるが,うまくいかなかったと感じたことの方が多いです。しかし失敗からこそ,たくさんのことを学ぶことができると経験的に思います。私自身の体験を交えながら,フィールドワークの手法や課題などを紹介します。またフィールドの事例に関連して,ゲストスピーカーによる講演を1回,実施します。
目標
貧困と開発,戦争と平和,人権,難民問題,地球環境問題などのグローバル・イシューをローカルな視点から問題を理解し,解決策を検討するための,手法としてのフィールドワークについて理解を深める。
授業外の学習
フィールドワーク論の目的は,受講生にフィールドワークを体験してもらい,エスノグラフィ(民族誌)を書くという体験をしてもらうことにある。講義外で,自らテーマを定め,短期間のフィールドワークを実体験してもらう可能性もある。また,授業で指定されたエスノグラフィ(民族誌)を読み,書評を書くことも求められる。本演習で指定されたテキストを事前に読み,議論に積極的に参加することが期待される。 ・授業内容をふりかえりリアクションペーパーを作成する(10分) ・演習内で指定されたテキストを事前に読み,論点を整理する(30〜120分) ・エスノグラフィを読み書評を書く(学期中1回。120分以上) ・フィールドワークの準備と実施(土日祝日などを利用)
所要時間: 授業 1 回あたり 190 分以上
スケジュール
- イントロダクション:デジタル・ネイティブ世代のためのフィールドワーク講座
- 【レクチャー】「問いをみつける」とはどういうことかー農山村の祭りの調査を事例に
- 【グループワーク】調査のなかで問いをみつけるーインタビューの実践
- 【レクチャー】参与観察とエスノグラフィ
- 【グループワーク】フィールド(問い)への向き合い方:文化相対主義を学ぶ
- 【グループワーク】エスノグラフィを読む(1)
- 【グループワーク】Win All You Can!
- 【グループワーク】エスノグラフィを読む(2)
- 【課題】身近な環境でテーマ探しをしてみよう
- 【レクチャー】ジェンダー&セクシュアリティの問題へのアプローチ
- 【レクチャー】フィールドワークのマナーと危機管理
- 【グループワーク】アンケート調査,統計学,データ・サイエンス
- 【レクチャー】見えないものを見る
- 【レクチャー】まとめーデータ・サイエンスの時代におけるフィールドワークの可能性
教科書
なし
参考書
書籍情報はありません。