グローバル・スタディーズ基礎演習
総合グローバル学部 - 総合グローバル学科(教授言語:日本語)
BGS10422
コース情報
担当教員: 眞城 百華
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水1
形式: 対面授業
レベル: 100
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
授業参加
レポート
その他
リアクション・ペーパーや課題論文のレジュメ,小テストなど:30%。 なお,演習形式の授業のため,出席は成績評価の前提とする。最終レポートの分量は4000字程度,提出期限は1月初めとする。詳細は授業時に連絡する。
詳細情報
概要
基礎演習では,2年次以降,それぞれが学習,研究を積極的に進めることができるように研究の進め方を理解し,基礎的なスキルもできるだけ実践を通してトレーニングする。10名程度の小人数クラスでの,学生間,教員・学生間のコミュニケーションを重視した演習形式の学びが中心になる。自分の考えを述べて批判を受け,他者の考えも批判的に受け止める,そういう知識形成の過程自体を学ぶ。「グローバル・スタディーズ入門」(春学期)では,総合グローバル学部を構成するさまざまな専門領域や学問分野,それに必要な研究スキルなどを概説した。基礎演習ではこれを踏まえて,実際に学術論文を読み,各専門分野が何を目指してどういう研究スタイルを取っているかを具体的に体感する。その中で自分の関心がどの分野にあるかを確かめ,研究主題を徐々に明確にすることが期待される。また演習では,研究に必要な資料を探し,データ作りも行い,それらが研究においてどう使われるか,も考える。それによって関心を持つテーマで研究を進めるためには,どのような資料が必要か,どういうスキル,手法を身につけなくてはならないか,そのためにどういう準備や訓練が必要かを各自が確認する。
目標
2年次以降,それぞれが自主的,自律的に研究が進められるように知的な基礎体力を養うことを目標とし,以下の5点の達成を目指す。 (1)「問い」を発する感性 「どうしてこうなっているのだろう?」という問を発することが研究の出発点である。演習は,活発な議論によって常に好奇心が働くように感性をしなやかに保つ練習をする。同時に学術的に意味のある「問(テーマ)」を見分ける力も磨きたい。 (2)論理的,批判的思考力 どんな言説も何らかの論理(視点,枠組みなど)によって構成されている。研究の第一歩は,人の言うことを批判的に受け止めて鵜呑みにせず,自分で信頼できる資料,材料を集めて自分なりの論理を構成してみることである。演習ではこれを繰り返し練習する。 (3)共同作業による学びと知識の形成 個個人の孤独な作業は研究にとって不可欠であるが,今後は異なる文化的背景を持つ人やコミュニティとの対話の中で言説・知識を構築することも重要な課題となる。文化が持つ「暗黙知」を基礎とする様ざまな考え方は,相互に簡単には折り合えない。従って議論のマナーを身につけることは研究の重要な課題である。 (4)信頼性のあるデータの収集 研究は,テーマをさまざまな材料によって論証する形で行われる。論証に使われる広い意味での証拠evidenceには,分野ごとにかなりの違いがある。演習では,学術論文を読んで各分野がどういう資料,データを,どのように扱うかを理解するとともに,できる範囲でそれを実際に収集し,信頼性を検証し,利用の方法を考える。 (5)文献の読み方,論文の書き方 基礎演習の最後の目標は,全員が自分の関心に即して学術形式の文章を書けるようになることである。そのためにまず優れた学術論文に接し,その形式や構成に慣れなくてはならない。さらに実際に文章を書き論文を構成する練習を行う。最初は短い文章の執筆と教員による添削によって論理的な文章の書き方,論文の構成,脚注の付し方を学ぶ。最終的には各自のテーマについて,集めた材料を使い,脚注に裏付け示し,明確な結論に至る論文を提出する。
授業外の学習
基礎演習では,予習が不可欠である。それに必要な時間には個人差があるが,毎週演習のために数時間は取れるように予定を組んでほしい。基礎演習は,二段構えで知識やスキルの習得を目指している。まずそれぞれが自分でその各回で取り上げる課題,論文について準備する。次にクラスで講義を聞き,事前に準備したものを互いにぶつけ合って議論する。このため深い学びを確実にするには,予習や事前準備を欠くことはできない。研究主題の設定について学ぶには,自分がどういう研究をしてみたいかを考えておく必要がある。論文の読み方の場合,指定の文献(日本語,英語)を読んでおかなければ何も学べない。レジュメの提出が求められることもあろう。準備なしに研究報告(プレゼン),それに基づく討論は不可能である。グループ討論の場合はグループ内で事前に話し合っておく必要がある。とりわけ論文の執筆には,通常かなりの時間がかかると思われる。そのために十分な時間の確保が求められる。小テストやレジュメ提出などを課す場合があるので,毎回の授業の復習はしっかりやっておくこと。
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション: 進行予定,教材,グループ編成等。以下の授業計画を目安とし,受講生の習熟度や進捗状況に応じ,必要に応じて適宜調整する。
- 情報文献検索
- テーマの発見(1): 例)時事問題や身近な問題を材料として,研究とは何かを考える。新聞雑誌記事や他の文献資料を用いて,複雑な現象や物事を分析する際の視点や研究方法の重要性を理解する。
- テーマの発見(2): 例):受講生が各自の関心のある研究テーマについて口頭報告し,それらについて議論する。
- 研究の構成(1)例):概念枠組み,データ,分析・解釈など,研究の構成要素について学ぶ。
- 研究の構成(2)例):文献,統計,画像,講演,聞き取りなど,様々なタイプのデータとその収集方法について学ぶ。
- 研究の構成(3)例):研究がデータによってどのように裏付けられるかを理解する。
- 研究の構成(4): 例):受講生が各自の関心ある研究テーマについてデータを収集し,それらが論文にどのように使えるか考察する。
- 論文の読み方/議論のマナー(1)例):課題文献等を読み,要約とコメントを作成する。その上で順番にプレゼンテーションを行い,討論を行う。次の2回の授業では異なる分野の論文を取り上げて同様に検討する。
- 論文の読み方/議論のマナー(2)
- 論文の読み方/議論のマナー(3)
- 論文の書き方/議論の深化(1)例):提出された最終レポートを共有し,それぞれのレポートに関する質疑応答を通じて議論を深め,研究の成果を確認するとともに,新たな問いや課題を見つける。
- 論文の書き方/議論の深化(2)例):提出された最終レポートを共有し,それぞれのレポートに関する質疑応答を通じて議論を深め,研究の成果を確認するとともに,新たな問いや課題を見つける。
- 最終レポートに対する修正:教員からのフィードバックをもとに,書き直したものを再度提出する。
教科書
以下のテキストを使用する(春学期「グローバル・スタディーズ入門」と共通テキスト)。その他,必要に応じて教材を配布する。
アカデミック・スキルズ ―大学生のための知的技法入門(第3版)
著者: 佐藤望(編著)・湯川武・横山千晶・近藤明彦
出版社: 慶應義塾大学出版会
参考書
必要に応じて紹介する